脚立の上の王様

主に脚立の上に存在します。舞台照明家のはしくれとしてエンタメ業界の底辺の端っこをちょっとだけ支えています。ふらっと海に出たり旅立ったりします。

真の遅筆

竹内結子、三谷幸喜の遅筆ぶりに苦言! | RBB TODAY

という記事を読んだのですが、まあ、こんなものでは遅筆のうちには入らないというかなんというか、よしひとつオレが本当の遅筆というものを教えてやりますよ。

 

もう鬼籍に入られましたが○上○○しさんという遅筆で有名な作家さんがいらっしゃいます。
遅筆にまつわる様々なエピソードはすでにいろんなところで語られていますが、これはぼくが同業者から聞いたお話です。

あくまで人から聞いた話ですし、ググっても具体的なネタ元は出てこなかったので話半分に聞いて下さい。

 

ある公演で台本が間に合わず初日が飛んでしまったことがあったそうです。

その後しばらくして無事に台本が上がり、数日遅れて舞台の幕は開きました。

事情に詳しくない人にも想像はつくと思いますが、公演が中止になるというのは制作側としては大事件なわけです。

あちこちに緊急告知をしたりチケットを払い戻したりと、劇場や制作さんなど関係各位はいろいろ大変なわけです。

 

さて無事に公演は進み一ヶ月ほどの公演期間も終わりに近づいてきたある日、劇場の支配人さんの元に井○さんがご挨拶にみえられたそうです。

「このたびは台本が遅れてしまいまして・・」

支配人さんは当然「ご迷惑をおかけしました」見たいな言葉が続くと思いきや、

 

「おかげさまで時間がたっぷりとれて、いい芝居が書けました」

と、おっしゃったそうです。

 

実際にいい作品だったらしいんですけどね・・

もはや一種の芸ですね〜  (*´д`*)〜з

 

他にも、稽古期間が始まったが台本がないので、役者たちが勝手に誰かが持ってきたシェイクスピアの稽古を初めたら案外いい芝居に仕上がってしまい、せっかくなので二週間後稽古場にスタッフや関係者を集めて発表会をやった、という心温まるエピソードも聞いたことがあります。(これは誰かのエッセイで読んだ気がする)

 

当代で遅筆といえば○○○ー○・○ン○○ヴィッ○さんですが、さすがにまだ井上さんの「遅れ芸」の域には達してないですなあ・・。
(とばっちりが届く射程距離内で仕事をしているので、個人的には達して欲しくないけど)