脚立の上の王様

主に脚立の上に存在します。舞台照明家のはしくれとしてエンタメ業界の底辺の端っこをちょっとだけ支えています。ふらっと海に出たり旅立ったりします。

音でプレイするスポーツ

先日、日本ブラインドサッカー協会が主催する「OFF TIME」というイベントに参加しました。

ブラインドサッカーとは視覚障害を持つ人がプレイする5人制のサッカーです。
パラリンピックの正式種目でもあり、世界選手権などワールドレベルの大会も盛んに開かれています。

「OFF TIME」ブラインドサッカーの要素を一般の人が気軽に体験できるプログラムです。
ブラインドサッカー協会のサイトによると、目隠しをして様々なアクティビティを行うことで、新たな発見があると書かれています。

ぼくは15年ほどセイルトレーニングという帆船航海の体験学習プログラムに関わってきましたが、自分がいいと思っているセイルトレーニングがなかなか広がっていかないことを残念に思っていました。
そんなこともあって最近、話題になることが多く、企業等との連携も進んでいるこのプログラムがどういうものか体験したくて参加してみました。

 

日曜の午後、会場の体育館に向かいます。
今回は日曜日ですが社会人でも参加しやすい平日の夜にも開催しているそうです。
受付をすませると早速目隠しを手渡されます。
ドキドキ・・。

集まった参加者は7,8人。年齢層はやはり20代がほとんど。
中には大阪から来ている人もいました。
社会福祉やフットサルに興味がある人が多いみたいです。
40過ぎのおっさんはやや浮き気味です・・。

協会側のインターンの学生さん、それとブラインドサッカー日本代表候補選手が参加者に混じって10人でスタート。

まずはアップを兼ねて二人一組で軽く準備運動。
この時点でもう目隠しを使ったプログラムが始まります。

その後10人全員でいくつかのワークをしたあと、5人ずつのチームを作り、そこから目隠ししてブラインドサッカー用のボールを使ったゲームをやっていきます。

細かい内容はネタバレになるのでここには書きません。
興味のあるかたは協会のサイト、もしくはぼくが嫌いなイケダハヤトさんのブログにも体験記が書かれているのでそちらをごらんください。

参加してみての感想ですが、目隠ししてボールを扱うのは予想通りとても難しいものでした。

ブラインドサッカーの使用球は中に鈴が入った特殊なもので、転がる時に音が出るようになってます。
でその鈴の音を頼りにボールを探すのですが、こちらも目隠しして頭の中がごちゃごちゃになっているので、小さな鈴の音を聞き分けることはほとんどできません。

またボールを足元に止めることや止まっているボールを蹴るだけでも、みえないとそうとう難しいです。
一緒に参加して下さった日本代表候補選手の寺西さんなどは何でもないように転がっているボールを追いかけて、足元に止めて蹴りだしていますが、実際にやってみると見てるようにスムーズにはとてもではないけどできません。

 

正直、プログラムのいくつかは似たようなものを他のコミュニケーションやチームビルディング系のワークショップでも体験していたり、自分たちの帆船でやったことがあるようなものではありました。
個々のプログラムは特に目新しいものではありませんでしたが、目が見えないというシチュエーションに特化して構成してあるので、全体を通しての印象はとても強いものになっていたと思います。

このプログラムは初心者向けで時間も短いので、サッカーの試合形式のワークはありませんが、ワークを通して実際の選手のみなさんがプレイを想像させる部分もあり、そうしたところも魅力の一つかなとも思いました。

 

終わった後に今回インストラクターを努めてくださった協会の方と少しお話をしましたが、ブラインドサッカーは音が重要なスポーツだそうです。

試合中にボールが止まると選手がボールのありかがわからなくなるので審判がボールを動かして音をさせることもあるそうです。
また寺西選手によると頭を低くして両方の耳から聞こえる音の差でボールの位置を判断しているとのこと。

実際にぼくも体験しましたが、ボールから聞こえてくる鈴の音は本当に小さなもので、敵味方が入り乱れる中でその音を頼りにプレイするのはすごく勇気がいることだと思いました。

実際に試合中に接触事故で流血というのもめずらしくないそうです。
目隠しして動くと周りの状況が分からないのでどうしても動くことに躊躇してしまう自分がいました。
試合のビデオも拝見しましたが、激しいプレイをする選手のみなさんを素直に尊敬してしまいました。

今は日本でもたくさんのチームが活動していて、地域リーグや日本選手権なども開かれているそうです。
ぼくも試合は当日ビデオでみせていただいただけですが、自分がやってみるとより興味を引かれたので、機会があれば一度生観戦してみたいと思っています。

 

料金は4000円、時間は2時間強。
会場は高田馬場から徒歩15分くらいの体育館です。
それほどハードに動くものでもないですし、ジーンズとかそのレベルの服装で充分に参加できます。

値段と時間に見合った価値のある貴重な体験であることは確実ですので、興味を引かれた方はぜひ参加してみてください。

 


日本ブラインドサッカー協会|Blind soccer


OFF TIME|ブラインドサッカーから学ぶコミュニケーション