脚立の上の王様

主に脚立の上に存在します。舞台照明家のはしくれとしてエンタメ業界の底辺の端っこをちょっとだけ支えています。ふらっと海に出たり旅立ったりします。

ぼくたちの前から去っていく彼女との思い出

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3年くらい前だったか、ももクロ主演の「幕が上がる」という舞台の本番につかせていただきました。
楽屋の廊下に稽古場で撮ったっぽい稽古中のメンバーの白黒写真がたくさん貼ってありました。
途中参加で稽古場には行ってなかったのでよく事情が分からず周りのスタッフに聞いたところ、有安さんが撮ったと。
彼女は当時日芸の写真科に在籍していました。
そのこと自体も卒業まで特にオープンにされていませんでした。
その後、大学卒業時に情報が公開されて、ニュースでそのことを知り、ちゃんと卒業まで頑張ったんだと少し感動したことも覚えています。

いわゆる商業演劇では、打ち上げでキャストとスタッフは同じお店にはいるものの、テーブルが分かれていることがほとんどで、お話ししたりする機会はほとんどありません。
まあぼくなんかは人見知りで気が小さいので、知らない有名人のキャストさんと話すのは正直、気後れしてしまうのであまり好きではないのですが・・。

けれどももクロのみなさんは公演中からとてもおおらかで、本番前のバックヤードでスタッフと絡んだりもよくしていました。
演劇という普段とは少し違う毛色の仕事でも、おそらくいつもと同じように楽しげに振る舞えるのは正直すごいなあとも思いました。
ももクロファンになるスタッフも続出しました)

そんな彼女たちは、打ち上げではお酒も飲んでいないのに(その頃メンバーのひとりがまだ未成年だったのでひとりだけ飲めない彼女を気遣って)それはもう元気で、何人かはスタッフのテーブルにも入ってきて一緒に話したりもしてくれました。
その時に有安さんとも同席して、どうして大学に進んだのかや写真を学んでいる理由なども聞かせていただきました。

アイドルという華やかな仕事の裏で、将来をしっかりと見据えて行動していた彼女だけに、まだ勢いのあるなか22歳での卒業という選択は、ぼくにはそれほど意外には感じられませんでした。
忙しいアイドル稼業の真っ只中でも、今いる場所のその先を見つめていた彼女ならと。